巨人のブルペンで大勢、堀田賢慎、山崎伊織の若手3投手を見た。3人ともさすがドラフトの上位で入団したというだけあって、ほれぼれする質の球を投げていた。原監督にフォークを教えてほしいと言われたが、堀田はトミー・ジョン手術を経験しているから、肘のことを考えてチェンジアップを薦めた。

中でも大勢は、すごく力のある真っすぐを投げていた。前日にもブルペンで153キロが出ていたというが、本当に速かった。こんな投手がアマチュアに隠れていたのかと思うぐらい。フォークは腕の振りが強く、真っすぐが速いことが条件となる。いい真っすぐを投げないとフォークは落ちないし、効かない。そういう意味で大勢は条件に合う。

フォークの抜き方と力の入れ方のこつを教えた。握りは私のものをヒントとして見せたが、練習で自分はどれが一番落ちるのかを試して、見つけてほしい。必ずしも私と同じものではなくていい。その後、自分からフォークを投げる際の目印の付け方を聞いてきた。彼はホームベースの前にしていたが、真っすぐはミットを狙うのだから、フォークは「捕手のどこかに目印を見つけると投げやすい」とアドバイスした。

ピッチングのこつをつかめば、2桁勝つ能力はある。真っすぐは威力があるのだから、コースにびしびし決める必要はない。ファウルでもストライクが取れることが分かれば、投球が楽になる。プロの打者はボールは振らないが、あの直球ならストライクゾーンで勝負できる。自分から質問しに来るなどハートも強く、話した印象ではリリーフでも面白い性格だと思う。フォークをものにできれば、クローザーになれる。それだけの馬力と素質を感じた。(日刊スポーツ評論家)

ブルペンで佐々木氏(右)から握りのレクチャーを受ける大勢(撮影・河田真司)
ブルペンで佐々木氏(右)から握りのレクチャーを受ける大勢(撮影・河田真司)