中日キャンプでは高橋宏斗投手(19)のブルペン投球を見た。立浪監督は「まだ19歳で大事に使う」と言っていたが、昨年のヤクルト奥川のように間隔を空けて使えば面白い存在になりそうだ。一見するとテークバックが小さく思える独特の投げ方をしているが、縦(上方向)にはしっかり大きさを持っている。腕を楕円(だえん)形、卵型に使うことができており、人にない特長を持っている。

まだ、いい球と悪い球がはっきりしている。クイックモーションで投げた時の方が、体重移動のタイミングが合っていた。いい球の確率を上げていくことが大事だ。経験の少ない若い投手は「打たれまい」としてボールが先行し、カウントを悪くして、甘くなった球を打たれがちだ。「打たれる分にはいいから、どんどん打たれなさい。勉強になるから」と伝えた。制球を気にし過ぎずに勝負してほしい。

あとは投球にちょっとした「間」があるといい。1・2・3というタイミングに「間」がないと、打者が合わせやすくなる。隣で投げていた小笠原にはゆったりした「間」があった。小笠原は成長がうかがえた。秋から相当な練習を積んだようだ。大野雄、柳と3本柱がそろい、そこに高橋宏も加われば、投手陣は盤石だろう。

中日は毎年攻撃力が課題となるが、石川昂、ルーキー鵜飼がフリー打撃で相当な飛距離を見せていた。石川昂は三塁手として積極起用して成長を促すようだ。鵜飼は外国人のようなパワフルなフォーム。コーチ陣も立浪監督の人脈で実績ある顔ぶれが集まった。新任の中村紀洋打撃コーチも、若き大砲は育てがいがあるだろう。今年の中日には上位進出の可能性を感じた。(日刊スポーツ評論家)