完全試合を達成した佐々木朗希も、まだ完成形への途中にあると表れていた試合だった。

5試合目の登板で直球の走りは一番良くなかった。中6日のローテによる蓄積疲労なのか、経験の少ないドーム球場が原因なのかは分からない。ただ初回から18イニングぶりに走者を置き、セットポジションでの投球を強いられた。クイックをしたり、神経をより払わなければいけない。

5回無死一塁で福田にストレートの四球を与えた。角度のついた直球を低めに制御できる投手が2球目から3球連続で高めに浮いた。いつもの160キロ前後が、155キロ前後になったのはスピードを落として制球したかったのだろう。それでも抑えが利かなかった。直球の空振りも17日の日本ハム戦の12球から、2球止まり。完全試合の10日のオリックス戦も2球だったが、ファウルに完全に振り遅れるなど質が違った。佐々木朗もこの日は試行錯誤していた。

投球以外にも5回無死満塁のプレーは、地に足がついていない感じだった。事前に捕手の松川に投ゴロならホームゲッツーを狙うと指示していた。だが一塁寄りの投ゴロで捕球後に二塁へ向き、そのまま投げてしまった。併殺は取れたが、23イニングぶりに失点した。本塁送球でも投-捕-一と併殺が取れた当たりだっただけに、もったいなかった。

それでも先発投手が好調を維持できるのは2~3試合ぐらい。状態が悪い時に、どう対応できるかに真価が表れる。4回2死一、二塁では来田に3球連続フォークで空振り三振。5回2死二塁も宗に直球から入り、3球連続フォークで空振り三振で切り抜けた。フォーク自体も抜けが悪く、4奪三振だったが、要所では配球パターンを変えて抑えるすべを持っている。

初回初球で連続イニング無安打が止まった。他の多くの記録も止まり、リスタートとなる。通常の中6日の間隔で先発ローテを守るのは初めての経験。前回登板でも直球がシュート回転することが多く、今回に向けて準備してきたが修正は図れなかった。これが1年間ローテを守る難しさだ。今後、成長する中では、とてもいい経験を積んでいる。まだまだ学ぶことも多い。佐々木朗も人間だ。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 5回裏オリックス無死一、二塁、西野に死球を与え満塁を許す佐々木朗(撮影・河田真司)
オリックス対ロッテ 5回裏オリックス無死一、二塁、西野に死球を与え満塁を許す佐々木朗(撮影・河田真司)
オリックス対ロッテ 2回裏オリックス1死一塁、来田は空振りの三振に倒れる。投手佐々木朗(撮影・前岡正明)
オリックス対ロッテ 2回裏オリックス1死一塁、来田は空振りの三振に倒れる。投手佐々木朗(撮影・前岡正明)