日本ハム吉田輝は先発に挑むにせよ、リリーフに戻るにせよ、取り組むべき課題が多く残されている。今季初めて担った救援のポジションでは20試合で24回で自責点7の防御率2・63と一定の数字を残した。だが今季3度目の先発では5回途中2失点。通算13試合で44回2/3で自責点45の防御率9・07となった。

先発で打者1巡目は通用する。指にかかった直球はスピンが利いていて、回転数も高い。フォーク、スライダーと3球種しかなく、直球が7割を占めるため、直球狙いの打者が少々の高めのボール球でも振ってくる。それでもホップするような直球が上回る。だから空振りやファウルでカウントを稼げて、フライアウトも取れる。

低めの直球は逆にタレ気味になる。狙って投げられれば一番だが、意図して投げてはいないだろう。それでも浮き上がる高めの直球とは対となり、打者を惑わす。さらにフォークは落差はないが、チェンジアップ的な要素が強く、ゴロを打たせたり、タイミングをずらすことはできるボールだ。

だが2巡目以降は、これらの長所だけではカバーしきれない課題がある。狙ったところに投げられているのは3割程度だろう。先発で100球程度投げるなら、70~80球は高低の誤差はあったとしても、狙った内外角のラインに投げ分けできなければ、通用しない。チェンジアップ的なフォークも空振りを奪うほどの落差はない。制球の悪い直球の威力が落ち、変化球で空振りが奪えなければ中盤からは手詰まりになってしまう。

高卒4年目を迎えた。入団時は久々にスピンの利いた直球を投げる投手が入り、楽しみにしていた。確かに毎年、少しずつ成長している。だが先発、救援どちらを目指すにせよ、今のスタイルでは中途半端だ。目指す投手像を描き、理想に向けて課題を克服しなければいけない。

制球が多少アバウトになってもより強い球を投げるのか、コントロールを優先するのか。どちらかを選択しなければいけない。行き詰まった時に球種をもう1つ増やすことに走る投手を何人も見てきたが、成功例は少ない。自分の持っている武器を極めることが先決で、球種を増やすのはそこからだ。吉田輝でいえば、その武器は直球であることは間違いない。

日本ハムの先発陣を見れば、先発に加わってほしい存在なのだろう。だがどのポジションを任されるにせよ、課題は変わらない。(日刊スポーツ評論家)

楽天対日本ハム 5回裏、交代しベンチで浮かない表情で戦況を見つめる日本ハム吉田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
楽天対日本ハム 5回裏、交代しベンチで浮かない表情で戦況を見つめる日本ハム吉田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
楽天対日本ハム 力投する日本ハム先発の吉田(撮影・佐藤翔太)
楽天対日本ハム 力投する日本ハム先発の吉田(撮影・佐藤翔太)
楽天対日本ハム 5回途中で降板する日本ハム吉田にスタンド応援席のファンから大きな拍手が送られる(撮影・佐藤翔太)
楽天対日本ハム 5回途中で降板する日本ハム吉田にスタンド応援席のファンから大きな拍手が送られる(撮影・佐藤翔太)
楽天対日本ハム マウンドで投球練習をする日本ハム吉田(撮影・佐藤翔太)
楽天対日本ハム マウンドで投球練習をする日本ハム吉田(撮影・佐藤翔太)