セ・リーグの灯を消さないためには、ヤクルト以外の5球団の奮起が求められる。DeNAは相手からすれば嫌な打線の力があり、自力優勝の可能性を残すチーム。直接対決で独走の勢いを止めて欲しかった。

1発攻勢で3点を先制し、1点を返された直後の3回。無死一塁から2番大田が強攻し、遊ゴロ併殺打に倒れた。相手からすればこんな理想的なことはない。併殺打や見逃し三振は一気に流れが変わるプレー。捕手目線で言えば劣勢を変えるために狙って取りに行くこともある。走者を得点圏に進められ、佐野、牧、宮崎と3割級の打者がそろうクリーンアップに回される重圧の方がきつい。直後の3回の守備ではさらに2点を失い、接戦にもつれる要因になった。

大田を2番に据えている以上、積極的に行った上での併殺打のリスクはベンチも背負っているのだろう。ただ、ボクシングで例えるなら、会心のストレートが決まった後、カウンターを打たれたら、もう1度、ジャブから立て直してほしい。そういう流れを組んだ「3回」に“ジャブ”が決まっていたら、もっと優位に試合を運べたかもしれない。

6、7回の攻撃もヤクルト2番手大西に対し、計11球で終わった。狙った球を打ちに行き、結果が内容のある凡打だったら問題はない。だが中途半端なスイングが多く、相手に「まだ行ける」と思わせる攻撃になってしまった。

紙一重ではある。DeNAの打線の長所は積極性で、それを消しすぎると良さが失われてしまう。機動力のあるメンバーは多くないので、強攻を重ねていくのも選択肢としては確かにある。だがバントや、エンドランなど局面によっては動くことで、守る相手も選択肢を消せず、可能性が広がっていく。

試合の中には局所的にそういう場面が訪れる。長所を生かしつつ、流れを読み、ここぞで動く。DeNA打線がわびさびを覚え、ペナントを盛り上げてほしい。(日刊スポーツ評論家)