ヤクルトの独走に待ったをかけたい2位の巨人だが、延長戦に負けて3連敗。波に乗るどころか、失速している。その原因を考えると、どうしても「捕手・大城」に行き着いてしまう。

正捕手として考えると、決してダメなわけではないのだが、総合的な実力的な部分からいうと、もうひとつ物足りない。今試合の打席内容を振り返ってみると、物足りない要因が見えてくる。

2点をリードされた4回裏、1点を返した直後の1死二、三塁で大城に打席が回ってきた。一塁は空いていて、次打者は8番の中山。打順の巡りを考えれば、大城の打席が勝負どころだった。

初球のカットボールは見逃せばボールになりそうな低めで空振り。2球目は外角の真っすぐがボールで、3球目は初球と同じような低めに決まるカーブを空振りした。この時点で勝負は厳しくなり、最後は内角のカットボールを空振り三振した。

この場面での打者の優先順位を考えてみよう。併殺の可能性も少なく、最悪なのは三振になること。次に考えるのは犠牲フライ。ストライクゾーンを少し高めに置いて備えるのが、基本的なスタンスだろう。

一方、広島バッテリーはなんとか低めの球に手を出させ、ゴロを打たせたいと考える。三振は追い込んでから狙えばいい。そうやって考えれば、大城は広島バッテリーの注文通りの打ち取られ方をした。

大城が捕手でなければ「経験不足」で片付けられるのかもしれない。しかし正捕手といっていいのかは分からないが、チームで一番スタメンマスクをかぶっている捕手。しかもプロ入り5年目になり、試合経験もそれなりに積んでいる。

捕手として相手バッテリーがどう考えているのかを読めば、このような打席内容にはならない。「真っすぐを待って変化球に対応する」という打者の基本スタンスを追求するのはいいが、それならばもっと打撃技術の向上が必要だろう。

6回2死一塁からは同点三塁打を放ち、延長戦になってソロアーチも放っている。ある程度の能力はあるだけに、余計にもったいないと感じてしまう。

捕手としてセオリーを学んでいけば配球の読みにもつながって、打撃のプラスアルファとしてつながると思う。打撃とリードは別として割り切って考える捕手もいるだろうが、それで「物足りない」と感じさせてしまう内容が続いている。特に巨人の投手陣は苦しく、配球の助けはいるし、打って援護することも必要だろう。(日刊スポーツ評論家)