阪神にとっては、継投のタイミングを含め、思い通りのゲームプランで最終回を迎えた。その状況での逆転サヨナラ負けをどう受け止めるか。

抑えを任されている岩崎は、球にキレがなく、浮いていた。キレやコントロールが生命線の投手で、タイミングも取りづらいのが特長だ。ただ、この日は梅野の構えたところに投げ切れていなかった。ましてや8回まで投げたのは、藤浪や浜地、ケラーら150キロを超す投手ばかり。打者の目も慣れており、変化球も効果的に使えなかった。連投が続いたときは、こういう投球になるのかな、というのがうかがえた内容だった。

クローザーに指名したら、連投であれ、最後を締めなければならないポジションだ。しかし、首位ヤクルトを追い上げなければならない状況で、1試合も落とせない試合が続くなかで、守護神起用をどう考えていくか。岩崎の連投が続いた時は、もう1枚、選択肢を増やすことも考えないといけないだろう。8回のポジションは代えづらいが、時には湯浅を抑えにもってくることもアリではないか。

岩崎はセットアッパーとしての経験は豊富だが、クローザーという立場は初めて。同じ連投といっても、精神的に違う。前日までの戦い方やコンディションを見極めながら、流動的に岩崎以外の人選も検討するべきだ。

もちろん、この敗戦で岩崎の信用が失われるわけではない。大きなエラーがあったわけで、彼だけの責任ではない。一塁を守る陽川のポジショニングはどうだったか。中野の打球への入り方は適切だったか。首脳陣や他の野手が間合いを取るなど最善の策を尽くしたかは、反省しないといけない。

先発藤浪はまともなヒットをほとんど打たれなかった。死球はあったが、それを差し引いても、先発として、十分合格点を与えられる内容だった。それだけに、チームにとっては痛い黒星となった。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 広島にサヨナラ負けを喫し、ぼうぜんとする阪神ナイン。左から岩崎、岩貞、浜地、藤浪、ケラー(撮影・前田充)
広島対阪神 広島にサヨナラ負けを喫し、ぼうぜんとする阪神ナイン。左から岩崎、岩貞、浜地、藤浪、ケラー(撮影・前田充)