長期ロード明けの阪神が分が悪かった広島に連勝した。これで甲子園での勝率は6割4分6厘まで上昇した。

吉田 我々の時代もそうでしたが、長期遠征から帰った地元での戦いは、いかなるチーム状態であっても、1つの節目です。そういう意味で前日(30日)の大山の勝ち越し本塁打が、この日つながりをみせた打線に刺激を与えた。広島九里の立ち上がりも悪くなかったが、阪神のクリーンアップが機能したのが大きかった。お立ち台はロハスが上がっていたが、ヒーローは大山と佐藤輝でした。

4回の4点は1死から近本が起点になった。5回は2死から佐藤輝が右前打と二盗、続く大山のしぶい中前タイムリーで5点目が入った。

吉田 近本、大山にも声を掛けてあげたいことはヤマほどあるが、ここでは佐藤輝について語りますわ。相変わらず三振数を指摘されているが、わたしは昨シーズンと今年の三振の内容は違っているとみています。1年前のような極端なボール球を振る光景は少なくなった。確かにコンパクトな振りで大きな当たりは出にくくなったかもしれないが、次のステップとしてコンパクトなスイングから長打になる打撃につなげてほしい。大山も起伏の激しいシーズンで、本人がどういう気持ちでプレーしているのかはわからないが、成長は素直に認めたい。

連日の1点差勝ち。伊藤将から岩崎を挟んで、浜地、湯浅がケラーにつないだ。

吉田 浜地のストレートの球威はレベルが高いし、湯浅もちょっとした不安はあるが躍動感がある。先発も才木、西純がいて、森木も投げた。藤浪の2勝も大きいですよ。若手たちに自信をつけさせるのも矢野監督の仕事といえます。残り20試合は1戦必勝。わかっていても、あきらめない。それと内野の状況判断は勝敗を左右する。守備は大事だと付け加えておきます。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】