阪神が勝ち越した6回に光ったのは6番佐藤輝の“つなぎ”だ。

原口中前打の後、中日柳のカウント3-1からの高めカットボールを左前打。その後、満塁となってマルテの決勝打が飛び出した。

真弓 佐藤輝はずっとストレートにはタイミングが合っていない状態が続いている。それでもこの試合のようにヒットを打てるわけだから非凡さを感じる。現状は打ちにいくときの右足を下ろすタイミングがずれている。だからなかなか打球も上に上がりにくい。この打ち方で無理矢理に引っ張りにいくとヒットになる確率は低い。でも手元にくるボールに対して我慢して、バットが後から出てくるから芯近くに当たって、逆方向に強い打球が飛んでいるというわけだ。

9月6日のヤクルト戦(甲子園)から4番を外れて6番起用が続く。7回には祖父江のストレートに再び左方向に適時打。本塁打は8月20日巨人戦(東京ドーム)で18号を放って以来ご無沙汰になっている。

真弓 柳はいろいろな手で打者のタイミングを外してくる投手だ。マルテはノーステップで打つタイプだからタイミングが合わせやすい。佐藤輝も投手によってノーステップにするなど、いろいろ工夫しながら練習に取り組んでほしい。個人的には4番を外す必要はないと思っている。そして6番より3番で起用される佐藤輝を見てみたい気がする。そのほうが本塁打のことばかりを考えなくていいし、足も使える。シーズン終盤にきて佐藤輝の立ち位置は少し気になるところだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対中日 7回裏阪神1死一、二塁、大山(右)は佐藤輝の左前適時打で生還しナインの出迎えに笑顔を見せる(撮影・上山淳一)
阪神対中日 7回裏阪神1死一、二塁、大山(右)は佐藤輝の左前適時打で生還しナインの出迎えに笑顔を見せる(撮影・上山淳一)