ヤクルトのリーグ3連覇に向けて、明るい兆しが見えた。「7番中堅」で出場した2年目の丸山和が3二塁打を含む5打数4安打。この時期の若手は結果も重要だが、何より内容がよかった。

1打席目と2打席目は、カウント1-2から中前打と左翼越えの二塁打。2本ともバットのヘッドを返さず、追い込まれてから理想的な打撃を見せた。

単純に必死に食らい付いているだけでは、これだけの内容は伴わない。追い込まれてからの基本は、際どいボールをファウルにし、平行カウントの2-2、もしくはフルカウントまで粘る。そして甘い球だけは逃さずに確実にヒットにするような打撃が求められる。センター方向や逆方向を意識したしぶといバッティングで結果に結び付けた。

そして3打席目は初球、4打席目はカウント1-0から、ともにファーストストライクを積極的に打ちにいって2二塁打。3本目の左翼線の二塁打は外角寄りの144キロの真っすぐを左方向に打ち、4本目の右翼フェンス直撃はカーブを強振したものだった。

ファーストストライクでは速い真っすぐを逆方向へ、球速の遅い変化球は思い切って引っ張っていくという積極的なスタイル。基本に忠実な打撃で、このようなスタイルで打ち分ける技術があると大崩れしない。あとは試合の経験を積んで、相手バッテリーの特性や状況によってのバッティングを続けていけば精度は上がるし、レギュラーの座もつかみ取れると思う。

走塁にも注目すべき点があった。2打席目の二塁打は、三塁を狙ってアウトになったもの。状況は1死無走者。ベンチから「積極的にいっていい」と指示が出ていた可能性はあるが、明らかにアウトのタイミングだった。レギュラーを取る選手は、こういった場面での自身の判断も重要になってくる。一方で素晴らしかったのは、4打席目に二塁打で出塁した後の走塁だ。左投手を相手に、三盗を狙った。打者が追い込まれるまでは狙ってないそぶりを見せておきながら、バッテリーが警戒を怠ったところでしたたかにスタートを切った。結果的には打者がバットを出し、左翼へのハーフライナーで併殺になってしまうのだが、見逃していればセーフのタイミングだった。走塁は丸山和の武器でもあり、ここからさらに磨いていって欲しい。

今季のヤクルト外野陣はセンター塩見、ライトはサンタナ、レフト青木の布陣でスタートしている。しかし丸山和がこの中に割って入れば、守備力が必要なライトを任せられる。そうなればもともと外野の守備範囲が狭い神宮では、打力を優先してレギュラーが決まるが「センター飯田、ライト稲葉」以来の守備力になれる。

センターの塩見は外せないだろうが、サンタナの打力は高いし、青木だって意地がある。ただ、レギュラーは奪い取ってこそ価値があるもの。レギュラーを与えられた選手は長くプレーできない傾向があると思っている。丸山和にとっては勝負の1年になる。(日刊スポーツ評論家)

練習試合 ヤクルト対DeNA 7回裏ヤクルト無死二塁、丸山和は右適時二塁打を放つ(撮影・足立雅史)
練習試合 ヤクルト対DeNA 7回裏ヤクルト無死二塁、丸山和は右適時二塁打を放つ(撮影・足立雅史)