ともに新監督が就任した西武と広島は、捕手がカギを握る。
西武は森がFA移籍で抜けた。正捕手を争うのは2年目の古賀と4年目の柘植。2人にとっては野球人生が変わったと言っていい。これから10年近く、正捕手を務めていたかもしれない森がいなくなった。こんなチャンスはない。
松井監督にキャッチングに対するアドバイスを求められ、2人に話をさせてもらった。肘から先の腕部分を意識しながら捕球しようとするあまり、ボールを“自ら捕りに行く”形になっていた。これでは、どうしても捕球時にミットが不必要に動いてしまう。
だが本来、ボールは“受ける”形が大事だ。左の肩甲骨を支点にして、肘から先の腕は無力、とは言わないまでも半分ぐらいの力しか入れないイメージ。球を待って受け、左肩甲骨に力が入ればミットは自然に止まる。
実際に指導後にミットは止まるようになった。昨季はリーグ1位の防御率を誇ったが、森は意外と出場時はチーム平均より失点していた。古賀と柘植は少ない出場機会ながらも、いい経験を積んでいる。2人には「出会えた縁があるから、見守っていくよ」と伝えさせてもらった。
広島は坂倉が正捕手確保に挑む。昨季は一、三塁を主に守った。捕手が内野手での起用の比重が高まってから、もう1度、正捕手を目指すケースはあまり前例がない。
もちろん課題を1つ1つ、つぶしていく必要はある。今まで一、三塁から打席に向かうリズムと、頭の中をリードなどに支配されて臨む打席の入りは変わってくる。紅白戦を見ていてもスローイングは不安定だった。どうしても早く投げようとするあまり、ボールを早く捕って投げようとする。だが送球の構えに入った体勢は前に突っ込んでもいいが、捕球はなるべく体の近くで“受ける”ことで、トップに入る距離への無駄がなくなる。
一、三塁を守ったことは遠回りではない。両サイドを守った経験を生かしてほしい。一、三塁から見つめた打者の動きを、ホームから見る打者の動きとリンクさせれば、坂倉にしか気が付かないものが見えてくるはず。新井監督が率いる広島の正捕手への、坂倉の挑戦を楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)




