現役時代は近鉄一筋17年で4度の盗塁王に輝き、オリックスで監督を務めた日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(64)が試合をチェック。阪神がプロ初先発の西武宮川哲投手(27)に白星を献上した敗因に迫りました。【聞き手=松井清員】

  ◇  ◇  ◇

阪神打線は宮川のパワーカーブにやられましたね。セ・リーグではカウント球で110キロ台のスローカーブを投げる投手はいますが、宮川のように130キロ台のパワーカーブをカウント球、勝負球で使う投手はほとんどいません。この日は約半分がパワーカーブでした。映像を見て対策を練っても打席での感覚は違うものです。真っすぐやカットボール、時折交えるフォークのコンビネーションで的を絞り切れず、術中にハマった3併殺が響きました。

2回の攻防が明暗を分けたように思います。阪神は無死一、二塁で6番渡辺諒が先制打を打ちましたが、続く7番森下にもバントさせず強攻で捕邪飛。後続も倒れて1点に終わりました。チームは前日完封負けで相手はプロ初先発。渡辺諒も適時打を打ちましたが、送ってもっと重圧をかけ、一気に打ち崩す作戦を取ってもよかったのではと見ていました。1点か複数点かでは大違いで、阪神の流れにならなかった印象です。一方で先発伊藤将はその裏、下位の柘植に逆転打を浴びるなど甘い球が多く、状態がよくありませんでした。

阪神はパ・リーグ下位で調子の出ていない西武に最低でも2勝1敗、うまくいけば3連勝を狙っていたでしょう。だからこのカード負け越しは痛い。特に打線が長年の課題になっている「あと1本が出ない」スパイラルが顔を出しているので、2日から戦うパ・リーグ首位のロッテ戦は1つの踏ん張りどころでしょう。投手陣がいいし、佐々木朗もきます。貯金はたくさんあるけど、野球は何が起こるか分かりません。引き締めて戦う必要があります。(日刊スポーツ評論家)

西武対阪神 西武に連敗し、ぼうぜんとする阪神岡田監督(右奥)(撮影・鈴木みどり)
西武対阪神 西武に連敗し、ぼうぜんとする阪神岡田監督(右奥)(撮影・鈴木みどり)