阪神は打線が粘りを見せながら、守護神湯浅京己投手(23)がサヨナラ本塁打を浴び、カード負け越しとなった。広島3連覇監督で日刊スポーツ評論家の緒方孝市氏(54)は、湯浅や岩崎優投手(31)の状態を不安視しながら、失点につながった7回の守備の「スキ」を指摘した。

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サヨナラ本塁打を打たれた湯浅は、軸になる球がない。去年でいえば、アウトコースの低めの直球は素晴らしい精度だった。力で押し込んでファウルや空振りでカウントを稼ぎ、フォークという大きな武器が生きた。しかし今年はそれが影を潜めている。ストレートがバラついて、コースも高さも自分の中で投げ切れていないのが顕著に出た。フォークも一定していない。前日の岩崎の投球にしても、2人の状態が落ちているのが今後の不安材料だ。

もちろん、勝ちゲームの8、9回を投げる投手はベンチが信頼して任せているので、簡単に代えるわけにはいかない。代わりになる投手もたくさんいるわけでもない。今年は守り勝つ野球をやっており、そこで投手をもり立てていく必要がある。

気になったのは、1点差に迫った直後の7回の守備。2死三塁で捕手の太田がセーフティースクイズを決め、1点を追加された。これは交流戦ならではのシーンだ。中日では木下が西武戦でセーフティーバントで出塁し、決勝のホームを踏んだ。ソフトバンク甲斐も広島戦で得点には結びつかなかったが、成功している。三塁を守る佐藤輝のポジショニングを見れば、油断していたと言わざるを得ない。打者がキャッチャーということで、意表を突かれるプレーというのが全く頭にない。セ・リーグ同士の戦いなら、そこまで油断はしない。これがデータのない交流戦ならではだ。直後に楽天のミスもあり、一時は逆転したが、こういうプレーは命取りになる。

阪神は選手が代わっても、打線のつながりを意識した攻撃ができている。前夜は派手に打ち勝ったが、この日はしぶとく1点を取った。それが今年の攻撃のスタイルだ。交流戦も残り3カードある。それだけにスキを見せない戦いというのが、大事なポイントになる。