<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク2-4巨人>◇11日◇ペイペイドーム
ケガで出遅れていた菅野が、やっと1軍に復帰した。
2軍戦で2度登板。球数はそれほど投げていなかったが、5イニングで2失点。球数は93球だった。故障明けで試合を作り、今季の初勝利につなげた点は「さすが」と言えるが、「エースが帰ってきた」と思えるような内容ではなかった。
投手の1番大事な球は「アウトローの真っすぐ」。菅野の場合、軸球はスライダーだが、この外角低めへ投げる真っすぐが良ければ、外へ逃げるスライダーで空振りも狙えるし、カウント球としても使える。真っすぐの球威があった頃は、多少甘くなってもファウルでカウントを稼げた。しかし「困ったときのアウトロー」が通用しなくなっている。
失点した4回裏の投球を振り返る。1死から野村勇に死球を与え、三森を迎えた。この場面、エンドランや単独スチールも考えられるだけに初球の入り方が難しい。バッテリーは外角の真っすぐを選択したが、甘く入ってライト前ヒット。一、三塁のピンチを迎えた。
その後、甲斐がセーフティースクイズを失敗し、2死一、三塁。打者は1番の中村晃で、2球目に盗塁され、その後カウントは2-2になった。フルカウントにすると二塁走者はスタートが切りやすくなり、確実に2点を失う。勝負どころだった。
ここでもバッテリーは外角低めの真っすぐで勝負にいった。中村晃への1打席目と2打席目は、変化球で空振り三振に打ち取っていただけに、真っすぐで裏をかく狙いもあったのだろう。しかし高めに浮いた真っすぐを軽打され、レフト前タイムリーで2点を失った。
コントロールミスとはいえ、全盛期の菅野であればファウルで逃げられた可能性は高い。安打された直球の球速は三森が146キロで中村晃は147キロ。しっかりと制球できなければ「困ったときのアウトロー」は、失点の危険度が増して投げにくくなる。
次回の登板では、制球力はもう少し上がるだろう。しかし球威を上げようと、必要以上に力を入れれば、今試合のように制球力が落ちる。そしてこれ以上、球威が落ちると、コースに決まっても狙われたときに痛打される確率が上がってしまうだろう。
巨人の防御率は12球団最低で、ここまで苦しんでいる最大の要因だろう。それだけに菅野の1軍復帰はチームにとって大きいし、今後に向けて反撃材料にしたいところ。全盛期のピッチングができなくても「困ったときのアウトロー」を復活させるための工夫があれば、まだまだ安定して勝ち星を稼げる投手。そのためには内角への厳しい攻めが必要。チームが巻き返すためのカギを握っている。(日刊スポーツ評論家)









