CS出場こそ決まっているソフトバンクだが、最終戦は勝てば2位が決まる試合だった。相手はぶっちぎりの優勝を決めたオリックス。意地を見せる相手としては、文句なし。そう思って見ていたが、拍子抜けしてしまった。
負けているから、必要以上にだらしなく見えるかもしれない。しかし「必要以上にだらしなく見える」のは、理由がある。状況に応じた「備え」に隙があるからだろう。
4点をリードされた8回無死二、三塁だった。9番の甲斐に代打・上林を送って最後の勝負をかけた。この場面、ヒットを打つのが1番だが、代打で結果を出すのは難しい。しかし、ヒットを打てないまでもバットに当て、三塁走者をホームにかえし、二塁走者を三塁へ進める。これが理想的な最低限の仕事だろう。
初球の低めのスプリットを見逃してボールになった。ここで左打者の備えといえば「引っ張れる球を待つ」になる。しかし内角のストレートを振り遅れ気味にファウル。続く内角の真っすぐも、差し込まれ気味のファウルになった。このタイミングで内角の真っすぐを打ちにいっても引っ張れない。まるで追い込まれた後、待っていない球をカットしにいったようなスイングだった。
最後はオリックスバッテリーの狙い通り、ワンバウンドするスプリットで空振り三振した。周東が四球で満塁になった後も、今宮が高めのスプリットを引っかけて遊ゴロ併殺。プロ入り10年目の上林と14年目今宮が、注文通りの結果で無得点では、思うような野球ができないのも当然だろう。
打席に入る前に、的確なアドバイスや指示は出ていたのだろうか。別に上林には「三振を恐れずに思い切っていけ」でもいいし、今宮には「併殺を怖がらずにスイングしろ」でもいい。しかし相手の術中にはまるような中途半端なスイング。選手は闘争心を出すどころか萎縮して、ベンチは選手任せ。これではチームに覇気を感じないのは当たり前だろう。初回の失点も防げたし、6回のソロも2アウトから。7回の失点も2アウトからで、あと1歩の踏ん張りが利いていない。
一方のオリックスは、ルーキーの曽谷が最終戦でプロ入り初勝利。腕を振って投げ込む真っすぐやスライダーにはキレがあった。この投球内容なら、CSや日本シリーズでも使えるメドが立つ。中嶋監督の思惑通りだったのではないか。ともに優勝候補だった両チームの差が、最終戦で出てしまった。(日刊スポーツ評論家)




