日刊スポーツ客員評論家で、昨季まで西武GMを務めた渡辺久信氏(60)の「ナベQ論」はプロ野球にとどまりません。11日は夏の甲子園2回戦、高川学園-未来富山をチェック。あえていつものしゃべり口調でお届けします。【聞き手・構成=金子真仁】

◇  ◇  ◇   

前評判が高かった未来富山・江藤君だけれど、富山大会の疲れもあるのかな、きっと今日は自分の最大値じゃないよね。球速も初回は140キロ台がずっと出てたけどね。ちょっと慎重な感じはあったよね。

真っすぐの質は良さそう。でもそういう球威を感じる球が、今日は全部外角に逃げちゃっていた。右打者の内角にズバっ、ていうのを待ってたけど今日はなかったかな。内角突こうと思ってたかもしれないけど、打たれた球は基本的に甘かったね。昔は左腕は希少価値があったけど、今は左腕の人数自体も増えてる。江藤君はフォーム自体が基本に忠実っていうのもあるけれど、もう1つ何か個性があるといいね。

変化球はいろいろ投げてるし、一番いいのは直球の球速ベースを上げることかな。147~148キロくらいまでベースで上がれば、球種の多さも生きる。特にフォークっぽい球はいいアクセントになる。

いい体はしてるし、デカ過ぎないのもいい。スカウトによって、球団によって評価が分かれるタイプかもね。甲子園ではほとんどのスカウトが集まるから、今日は打たれちゃったけど、どうなるかな。

西武では夏の高校野球は地方大会の時にも「クロスチェック」をやっている。5人とか、もっと多くのスカウトが特定の候補選手の試合に集まって、その選手を実際に見て評価する。球速とか数値は別として、やっぱりスカウト個人によって評価が極端に分かれる時は、たまにあるよ。

他球団は分からないけれど、西武は評価が分かれたら、基本的にはその地区の担当スカウトの評価を優先するようにしてきた。担当は担当として、ずっとその選手を見てきているわけだしね。江藤君も今日は打たれたけれど、担当スカウトは当然、もっといい登板を知っている。そこをどうプレゼンするかだね。

未来富山でいうと、2番手で投げた左腕の松井君も面白いね。すぐにプロ野球どうこうではないと思うけど、体つきと投げっぷりがいい。打者からしたらイヤな投げ方だし、大舞台でもぐいぐい行けるこういうタイプがもっと力と経験を付けてくると面白いよね。

高川学園対未来富山 6回裏高川学園1死二塁、遠矢に適時二塁打を許した江藤(左)は降板、グローブを外野手用に替える(撮影・西尾就之)
高川学園対未来富山 6回裏高川学園1死二塁、遠矢に適時二塁打を許した江藤(左)は降板、グローブを外野手用に替える(撮影・西尾就之)