阪神が残り試合を消化していく中で、タイトルのかかった才木が勝つか、負けるかが注目された一戦だった。最少1点で7回を投げ切ったから、ベンチが「野手が打って勝たせてやらないと」という空気感に包まれてもおかしくなかった。
中日先発の大野に8回を4安打に抑えられた。以前は速くてキレのあるストレートを主体に、ツーシームを意識させながら、インコースに「ズドン!」と投げ込んだ。その逆もあった本格派だが、今はすっかりモデルチェンジしている。
最近、森下、佐藤輝ら阪神の主軸を打ち取るには、インハイを突いた投球がセオリーのようにささやかれる。しかし大野の投球は、その常識とは裏腹だったといえる。中日バッテリーは、ほとんどふところに厳しく投げ込んでこなかった。
球速は150キロを計測するわけでなく、インハイを意識させるような配球でもない。左右の打者に限らず、ツーシームを中心に、その高さを間違えることなく、ちょっとずつボールを動かしながら、丁寧に膝元に投じるスタイルに、阪神打線はやり込められた。
ベテランの味といってしまえばそれまでだろう。しかし、今までにない攻められ方をしたのは間違いなかった。ポストシーズンを勝ち上がっていく対策を練る上で、参考になった1敗になったということだろう。
もっともCSの対戦チームが決まっていない状況だから、調整といっても難しい。ただ前日に死球を受けた近本が今のところ骨折などでなく、左前腕部の打撲だったという事実が、チームにとっては何より大きい。(日刊スポーツ評論家)




