チーム再建中のヤクルトキャンプを視察した。古巣チームだけに、新体制で挑む今季がどうなるのか気になっていた。ところが評判のよかったドラフト1位・松下が左ハムストリングスの筋損傷で練習から離脱するなど、出ばなをくじかれたような気持ちになってしまった。練習を見ても、これで本当にチームの再建はできるのだろうかと、心配になってしまった。

ノックでの選手の動きに、不満が残った。カバーディフェンスなど、全力で動いていない選手が多すぎる。厳密に言うと、どんなプレーでも100%の全力でやる必要はない。しかしこうした手抜きプレーが横行していくと、チームに伝染病のように広がっていくし、緊張感のある練習はできない。こうしたプレーをきちんとやっていないと、どのくらいのスピードに入れば間に合うのか、個々の選手の能力を測りかねてしまう。そうしたタイミングが違ってくれば、とっさのプレーでの誤差につながってしまう。思わぬミスへの対処の仕方も覚えられない。

そんなこと言われなくても、実戦になればちゃんとやるよ、という選手はいるだろう。しかしキャンプでしっかりした動きをおろそかにしている選手ほど、ケガのリスクが大きくなる。普段から俊敏に動く意識をもっていれば、そのプレーに必要な筋力は自然に鍛えられる。しかし当然、そうしたプレーを怠っていれば、とっさのプレーに体はついていかない。思わぬケガを招いたり、試合の勝敗を左右するような致命傷のミスにつながる可能性が大きくなる。

今後、紅白戦やオープン戦に入る。実戦になれば、自然と緊張感は高まっていくだろう。そうやって公式戦に間に合わせる選手もいる。完成された選手が多く、強いチームであればそれでもいい。しかし現在のヤクルトは弱小チームであり、実績十分で完成された全盛期のバリバリの選手もいない。

キャンプの練習日程は6勤1休。練習日程だけをみればかなりハードだが、チームの全体練習は午後1時ごろで終了。後は個人練習に切り替わっている。個々の足りない部分はそれぞれ違うし、全体で同じ練習をするより効率的な部分もある。しかし、チーム全体としてやる練習時間が短いのなら、その短い練習時間だけでもしっかりと全力でやった方がいい。6勤1休でハードな分、毎日の練習時間を短くするのは合理的でもあるが、その短い練習だけはしっかりとやるべきだろう。

明るい兆しと言えば、ブルペンで見た奥川のピッチングだけだった。アウトローに制球された真っすぐは素晴らしかった。この日の練習を見ただけでとやかく言うのは気が引けるが、ヤクルト低迷の原因は改善されていないように感じてしまった。(日刊スポーツ評論家)

ブルペンで投球練習する奥川恭伸(左)を見つめる池山監督(撮影・鈴木正人) 
ブルペンで投球練習する奥川恭伸(左)を見つめる池山監督(撮影・鈴木正人)