WBC壮行試合2戦目は、ソフトバンクに完敗。結果よりも内容が大事な試合で、勝敗に意味はない。むしろ前日22日の壮行試合で大勝し、楽勝続きになるより良かったと思っている。ただ、今後に向けて気になる不安点が見受けられた。
今大会で連覇を狙う日本にとって、真っ先に上がる懸念材料は「ピッチクロック」だろう。ルールは? と聞かれれば「ピッチャーは走者がいないときで15秒以内、いるときで18秒以内に投げなければいけない」や「けん制球の制限」が挙げられる。どうしてもピッチャーのプレーにとらわれがちになるが、今試合では「打者は残り8秒までに打席に入って打つ準備ができていなければいけない」というルールに佐藤輝と湯浅が抵触し、1ストライクからの打席になった。
いずれも初球を投げる前だった。1ストライクから勝負することになり、打者にとって「痛い」のは言うまでもないだろう。しかし、佐藤輝のその後の打席を見ていて感じたのだが、単純にカウント的に不利になるという以上の圧力があったように思えた。
思わず自分が打席に入っているようなイメージで、照らし合わせてみた。どうしても「早く構えなきゃ」と意識が働く。時間にしてどれぐらい違うのかは人によってだが、わずか数秒であってもいつものリズムではなくなる。早く構えて待てば動きが止まる時間が長くなり、微妙な力みにつながるケースがある。ここまで調子の良かった佐藤輝だが、その後の打席内容を見る限り、力みからスイング軌道がズレ、タイミングも狂っていたように見えてしまった。
私自身も未熟さを痛感したが、ピッチャー側に立ったルールばかり気になっていた。しかし佐藤輝だけでなく、リズムが狂った選手はいたはず。今試合では必要以上に意識が強くなってしまった面があるだろう。
そういう意味でこの時期に経験できたのはよかった。投手では高橋がオーバータイムでピッチクロックを取られたが、比較的対応できていたと思う。ただ、走る側の立場から言うと、もっとけん制球を入れてほしかった。今試合でのけん制球は全部で3球だけ。けん制球の回数に規定があるため、本番ではあまりけん制球を入れないだろう。しかし相手チームに「日本はけん制球を投げてくる」という圧力はかけてほしい。ピッチクロックに慣れていない日本だが、少しでもそのハンディを補えるような戦いを心がけてほしい。(日刊スポーツ評論家)




