珍しい2ショットだった。巨人は5日、26年ぶりに長野・松本での公式戦に臨んだ。その試合前の練習中。見覚えのあるメガネ姿の男性が、打撃ケージ裏の高橋監督に歩み寄った。指揮官から丁寧にあいさつされたその人は、北京五輪でサッカー日本代表を率いた、J2松本山雅FCの反町康治監督(53)。サッカー界の「理論派」監督が、なぜ巨人に? 接点を調べると、両者とも慶大出身とのことだった。反町監督は後輩の高橋監督と談笑しつつ、サッカーへのヒントを探すかのように、練習する選手たちを細かく目で追っていた。

 練習見学を終えた反町監督は「いろんな話が聞けて楽しかった」と声を弾ませた。試合前の打撃練習を、ホームチームが2カ所、ビジターチームが1カ所で行うことにびっくりしたという。「サッカーはどちらかといえば新人類で、野球はトラディショナル(伝統的)。野球にも、ホームとアウェーでそんなに差があるのかと驚きましたよね」。新たな発見に、うれしそうだった。

 見慣れている光景も、見る人によっては新鮮な驚きになる。とらえ方ひとつで新たな刺激になる。「他競技だし、高橋さんとはあまり接点はないんだけど、若くして監督をされて、重なる部分はある。巨人という全国民が注目する中でやるのは大変だと思う。お互いに頑張りましょうということですね」。普段は会えない者同士が交流を深め、いろんな人が「野球」を通じて感じあえる。それも地方開催の魅力の1つだろう。【巨人担当=浜本卓也】