19年ぶりのビールかけは初々しかった。

 日本シリーズ出場を決めたDeNAが、広島市内のホテルで祝杯をあげた。

 アレックス・ラミレス監督(43)のかけ声に、乾杯と勘違いした選手・スタッフは、フライングスタート。スタッフが「慣れてないからって、フライングするな~」とさけび、笑いが起きた。仕切り直しで、主将の筒香嘉智外野手(25)が大号令。球団にとって19年という長い間、遠ざかった歓喜の瞬間はフレッシュであり、喜び方もさまざま。3人ピックアップしてみた。

 3000本のビールを浴び、選手たちが装着していた水泳用のゴーグルは、試合前にスタッフが広島市内をかけずり回って買い集めた。そんな中で、井納翔一投手(31)だけが、“宇宙人風”のメガネを装着。個性的な宇宙人キャラクターに合わせて「これで宇宙に帰れるね」と声をかけられると「いや、今きたとこなのよ」とキャラ設定を徹底。さらなるキャラ定着にテレビカメラで見切れようと頑張ったが、反響はあまりなかった。

 開始から20分、まだ喜び収まらぬ中、バスローブに着替えた坪井智哉打撃コーチ(43)が現れた。歓喜の選手たちに「まだ遠慮があるよね」と一言。さすが選手時代、日本ハムでリーグ優勝3回、日本一1回。ビールかけは何度もしてきただけに「もっとはじけないとね」と、経験者らしく伸びしろを指摘した。

 歓喜の輪の外には、1人見守るルーキー・細川成也外野手がいた。19歳とあって、お酒はご法度。はじける先輩たちにときおり笑みを浮かべていた。さびしいか? の問いに「いや、見ていて楽しいです」と初々しい。そんな最年少を気づかって、先輩たちは「成也!」とハイタッチで駆け寄った。成人を迎える来年こそは、この輪に加わる決意が固まっただろう。

 三者三様、勝利の美酒に酔いしれた一夜でした。【DeNA担当=栗田成芳】