エンゼルスに移籍する大谷翔平投手(23)が、本拠地エンゼルスタジアムで入団会見に臨んだ。競技発祥国でも異例の二刀流挑戦を表明し、伝説の名選手ベーブ・ルースに「少しずつ近づいていきたい」と決意を新たにした。米国流スピーチにジョークも交えて約1000人のファンを沸かせた。

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 純粋であり、気遣いもできる。ありのままの大谷が表れた会見だったように思う。現地のファン、関係者にも好意的に迎えられたようだし、まずは幸先のいいスタートを切ったのではないか。

 エンゼルスを決断した理由について、大谷は「縁みたいなものを感じた」「感覚的なもの」と言った。抽象的な受け答えにとどめたのは、獲得に興味を示し、実際に交渉も行った他球団への配慮があったからだと思う。大谷は日本での5年間を振り返った際にも、印象に残った対戦を問われ「各選手いろいろ個性を持って、仕事をしている。実名を挙げると、いろいろあれなので」と答えを濁した。誰かひとりについて語ると、周囲にさまざまな影響を及ぼす。自分の発言が世間の注目を集めることは分かっている。だからその後のことまでを考えた上で、言葉を選ぶようにしている。

 一方で、自身と同じ同一シーズンでの2桁勝利&2桁本塁打を達成しているベーブ・ルースについては「僕の中では神様と同じぐらいの存在。野球をやる上では近づいていきたい」と言い切った。「世界一の選手」を目指すには、超えなければいけない伝説のプレーヤー。二刀流挑戦は本場米国でも異例で、米国の野球ファンでも懐疑的に見ている向きはある。だが、メジャーを象徴するスーパースターへの純粋な憧れを口にする姿は好印象ではなかったか。“ナイスガイ”であることは、存分に伝わったのではないだろうか。【日本ハム担当・本間翼】

エンゼルス入団会見で背番号17のユニホームに袖を通し、モレノ・オーナー(左)と握手で祝福を受ける大谷(撮影・菅敏)
エンゼルス入団会見で背番号17のユニホームに袖を通し、モレノ・オーナー(左)と握手で祝福を受ける大谷(撮影・菅敏)