2年で計12勝を挙げたジョーダンは中日よりヤクルトを選んだ。

 中日残留で“合意”していた。過去2年間の年俸は推定3000万円の出来高払い。来年は同程度か微増だったみられる。その条件にジョーダンが不満を示した。中日は交渉に応じたが、ヤクルトが推定7000万円でオファー。そんな構図と聞いた。

 昨年は1度自由契約にした上で再契約していた。それが「拾われた」ジョーダンの立場の弱さになったかもしれない。安めの金額に抑えられ、役割も流動的。ローテを飛ばされたり、ずらされたり、が当たり前のようにあった。

 シーズン中、「この起用法で彼は不満を言わないのか」と現場に聞くと複数人が「彼にそんなことを言う権利はない」と即答した。もちろん一選手なので起用に文句を言う立場ではないのだが、外国人への態度としてはめずらしく映る。トラブルでもあったのかと勘ぐりたくなった。

 屋外球場に弱く、ボーク癖もあり、性格にも起伏がある。欠点は本人も自覚していた。9歳上の優等生バルデスがいたこともあり、不平不満はのみ込んでいた。日本に導いてくれた中日に感謝し、チームにもなじんだ。退団後、SNSで「人間として、選手として成長させてくれた中日に感謝している」と記した。

 ジョーダンの獲得は森監督のドミニカ人脈の確かさが示された好例だが、結果としてライバル球団に移籍してしまった。新天地での登録名はミドルネームの「アルメンゴ」。名前に違和感はあっても、変わらぬパフォーマンスを見せれば手ごわい相手になるのは間違いない。【中日担当 柏原誠】