記者席にはテレビモニターが設置されている。阪神で、よく映る男がいる。好プレー、ミス、タイムリーなど、ことあるごとに“抜かれる”金本監督。ピントは合っていないが、その手前に、いつも山崎がいる。他球団で言えば、監督の近くはなんとなく若手の席という暗黙のルールがある。しかし山崎は今年32歳。映りたがっているわけではあるまい。

 「首脳陣の近くにいると、どういう考えなのかが分かる。僕は試合の途中から出ていくので、気持ちの面でも試合に入っていきやすいんです」。試合終盤の守備固めやピンチバンターでの登場が主な持ち場。守備位置を指示するコーチの声や、作戦を感じることで出場したときにスムーズだという。

 「僕は目立たない方がいいんです」と言う。目立つときはミスのときだ。5月4日の試合で一塁の守備に入るも、送球をポロリする失策でチームはそこから敗れた。目立つときはミスのとき。地味な役割と日頃の小さな積み重ねでチームを支える。内野ならどこでも守る守備固め要員、つなぎの代打、代打バントなどポリバレントな役割が、山崎をベンチの最前列に座らせている。【阪神担当 池本泰尚】