連覇へのカギはガムかもしれない? ソフトバンク工藤公康監督(55)が、15年の就任以来禁止してきた「試合中のガム」を8月10日から解禁した。その日から20試合を17勝3敗(9月2日終了時)と驚異的に白星を増やした。借金1の3位で首位西武に10・5ゲーム差だったが、貯金13で4ゲーム差に迫った。

選手たちからの要望だった。これまでもタブレットなどで代用してきたが、口の中で溶けてしまうと口がさびしくなるという。8月上旬の千葉遠征の際に食事会の席で柳田選手会長が監督に伝え、10日の日本ハム戦前に工藤監督が選手ロッカーにガムボトルを持参し解禁となった。

さっそく柳田、今宮ら主力選手がガムをかみはじめた。柳田は「いい感じです。僕はキシリトールですね」とニッコリ。ベンチに常備され、最近はいろんな味のガムが置いてあるという。現在、売り出し中の牧原は自分のリュックに自前のガムボトルを入れている。「かむこと、口の中を動かすことでリラックスできる」とその効果を口にする。

五十嵐のように「メジャーの時はかんでいました。向こうのガムはめちゃ甘くて、プウッと膨らむ。(チームで解禁も)僕は今はかまないですけどね」と、かまない選手もいる。上林も「今までやっていないので」とかまない派だ。

工藤監督は、試合中にガムをかむ姿がよくないということで就任以来禁止にしていた。今回も口を開けながらや大きくクチャクチャかむのは禁止という条件付き。あまりに目立つと再び禁止する可能性もある。突然の解禁に、テレビ中継などを見て戸惑うファンがいるのも事実だ。

いろんな意見は当然あるが、選手と監督が歩み寄り、厳しかった連覇への道が見えたのであれば、今回の「ガム解禁」はよかったのではないか。「僕が1軍に昇格したのも8月10日ですよ。僕が来てから負けないんです」と4年目捕手栗原にガムのことを質問したら、笑いながらそう答えた。8月攻勢はガムではなくラッキーボーイ栗原が加わったからかもしれない。ホークスの終盤戦がおもしろくなってきた。【石橋隆雄】