「フレミングの法則」という言葉。まさか、プロ野球の現場で聞くとは思っていなかった。先日のことだ。大卒1年目の楽天山崎は、室内練習場で黙々と打撃練習をこなしていた。国学院大時代に、東都大学リーグ24人目の100安打を記録した左打ち。「どうしようか、悩んでいるんですよ」と握り方を見せてくれた。

その左手は、まさに「フレミングの法則」。親指(力の向き)、人さし指(磁場の向き)、中指(電流の向き)だったろうか…。それら3本の指を軽く伸ばし、薬指と小指でバットを握っていた。「フレミング」と突っ込むと、一瞬の笑みの後に「こっちだと、細かいバットコントロールがうまくいく。今までも、ずっとこれだった。でも、インパクトの時に、球威に負けてしまう」と真剣な表情を浮かべていた。

来季に向けて、親指を軽く離す程度のスタンダードな握り方の挑戦も始めた。「こっちだと、パワーが伝わりやすい。長打も出やすい」。再び、マシン打撃の前に立ち、あえて“素手”で何度もバットを振り込んだ。「いろいろ試しながら、やります。やっぱり、フレミングもいいです」。ルーキーイヤーの今季は33試合出場で打率は2割3分2厘、7打点、4盗塁を記録した。平石監督が「縮こまったら困るタイプ。伸び伸びとやってほしい」と期待する天才型。最下位に沈んだチームに新たなエネルギーを放出してほしい。【楽天担当 栗田尚樹】