ゴールデングラブ賞を初受賞した梅野隆太郎(2018年11月8日撮影)
ゴールデングラブ賞を初受賞した梅野隆太郎(2018年11月8日撮影)

プロ野球の守備のベストナインを選ぶ三井ゴールデン・グラブ賞が8日に発表された。阪神からは梅野隆太郎捕手(27)が初選出された。秋季キャンプが行われている高知・安芸市で吉報を受け「いつかは絶対に取りたいと思っていた賞」と喜びを口にした。

体を張ってボールを止めたストップの技術に加え「梅バズーカ」とも呼ばれる強肩も目立った。盗塁阻止率は巨人小林の3割4分1厘に次ぐリーグ2位の3割2分。企画された数は梅野が75度で小林が44度だった。小林の抑止力もさることながら、走られ続けても刺した梅野が高く評価された形だろう。

そんな梅野に、今季のベストプレーを聞いた。24度刺した内の手応えがあったワンプレーとは…。梅野は「場面にもよるし、これっていうのはあれですけど」と前置きした上で「阻止するために出て行って、阻止できた広島戦ですかね」と続けた。

4月30日広島戦(マツダスタジアム)、2点リードの7回1死。田中が四球を選び、菊池を打席に迎えたところで声が掛かった。ブルペンで球を受けていた梅野は急きょ呼ばれて出場。投手はクイックが速いとは言えないモレノだった。菊池を三振に抑え、次打者バティスタの2球目に田中がスタートを切り、梅野はストライク送球で刺した。1死一塁で捕手を代える珍しい場面で、仕事をしてみせた。

梅野は約半年前のプレーを鮮明に振り返る。「スチールが考えられる展開で、1点を阻止するために自分が行って。案の定仕掛けてきて、刺せた。仕事をやるべくして出来たというところで価値もあったのかなと思う」。ピンチの芽を摘んで流れを切った。チームもそのまま逃げ切り、試合にも勝った。何よりも信頼、期待されていることが、梅野にはうれしかった。

「100%刺せるということはあり得ないし、そうだから行っているわけではない。監督も確率を考えられたんだと思う。(イニングの)途中というのはなかなかないことですけど、出させてもらった。自分の価値というか、それだけ信頼されているからこそだと感じました。ベストなスローも出来たし、あれは気持ち良かったですね」

武器を最大限に発揮し、任されたミッションをクリア。自信にもつながった。さらなる高みを目指して、キャンプではキャッチング技術の向上にも取り組む。来季はさらなる強肩発動と、何より勝てる捕手へ。梅野がベストプレーを積み重ねていく。【阪神担当 池本泰尚】

7回裏広島2死一塁、バティスタの打席で梅野は二塁へ好送球し田中の盗塁を刺す(2018年4月30日撮影)
7回裏広島2死一塁、バティスタの打席で梅野は二塁へ好送球し田中の盗塁を刺す(2018年4月30日撮影)