10月4日、戦力外通告を受けたソフトバンク育成幸山一大外野手
10月4日、戦力外通告を受けたソフトバンク育成幸山一大外野手

エンゼルス大谷のそっくりさんと言われた男が4年遅れのキャンパスライフを送る。ソフトバンクから戦力外となった幸山一大(こうやま・かずひろ)外野手(22)は来年2月に受験し、東京都内の私立大学への進学を目指している。

14年育成ドラフト1位で富山第一から入団。190センチの長身とその顔立ちから、大谷似と言われ続けた。右打ちの長距離砲として期待されたが、2軍での本塁打は3年目の17年9月に放った1本だけ。今年10月に戦力外通告を受けた。

「野球から1回離れてみようと思って。4年間全く勉強してなかったんで、今は頭を動かしてます。勉強するのは嫌いじゃないんです」。日本一面積が小さい自治体、富山県・舟橋村で中学まで過ごした。中学でも成績は上位。富山第一には特別進学コースで入学した。

「プロ野球という大学に4年行って、もう1回大学に行くって感じですかね。4浪ですね」。ソフトバンクでは寮生活だったが、合格すれば横浜市内で独り暮らしをする予定だ。「周りが若いんで、それについていけば、おじさんにはならない」。4歳下の新入生たちとの新生活に思いをはせる。

志望の大学にはプロも輩出する強豪野球部もある。「入っても、試合に出られませんから。それよりは勉強したい」。教員免許を取得し、地元富山に戻り、高校野球の指導者になるのが夢だ。すでに学生野球資格回復制度の講習も受けた。「プロでは練習ではうまく打てても、実戦ではできなかった。(中村)晃さんには自主トレに連れて行ってもらって、取り組み方や技術などを学んだ。指導者になった時に絶対に生きると思っています」。自身が高校2年の時に富山第一が甲子園夏8強になったのが県勢最高。春も4強まで。「富山に優勝旗っていうのもいいでしょ」。プロ野球で学んだ4年間は決してムダにはならない。【石橋隆雄】

元ソフトバンク育成幸山一大外野手
元ソフトバンク育成幸山一大外野手