ロッテ井上晴哉内野手(29)が26日のソフトバンク戦でだめ押しの7号3ランを放ち、お立ち台に上がった後、意外なことを明かしてくれた。「僕、家族で(夏場所)2日目に両国行ったんですよ」。本拠地ZOZOマリンで今季初のお立ち台に上がった石川歩投手(31)が「朝乃山、優勝おめでとう」と同じ富山県出身で大相撲夏場所で優勝を果たした朝乃山を祝福したことを受けての発言だった。

2日続けて試合のなかった13日に、人生で初の相撲観戦で訪れた両国。会場では「引退した力士? 違う、あれはロッテの井上だ」と間違えられたという。つかの間のリフレッシュのつもりだったが思わぬ収穫があった。家族を残し、取組表を片手に力士の入り待ちをしている時だ。お付きの人を引き連れ堂々と会場入りする姿に「どっしりしているっていうのはこういうことを言うんだ」と感銘を受けた。「だから最近三振してもこうやって(堂々と)帰ってきますよ」と114キロの自身と力士を重ねた。

取り組みからも学んだ。力士が土俵に上がり制限時間いっぱいまで見合う姿に「4分しかない中で最後制限時間いっぱいで『ガン』って感じじゃないですか。そこまで持って行くのに3分半、4分でどうやって作ってるんやろうとずっと思ってたんですよね。勉強になりました」。気持ちの持って行き方や下半身の使い方など、一瞬の勝負の世界から多くを得た。

4月23日に再昇格して以降、打率3割1分5厘、8本塁打と好調を維持する。調子が上がらず2軍で再調整している間「代理の4番」を務めた角中勝也外野手(31)が29日、左大腿(だいたい)直筋肉離れで抹消された。井上は「本当の4番がどっか行っちゃったんで、しっかり戻ってくるまではカバーしときます」という角中の言葉を励みに調子を取り戻し、今がある。その恩返しとして、安心して治療に臨んでもらえるように、力士から学んだ「どっしりさ」で4番に座り、チームをけん引し続ける。【ロッテ担当 久永壮真】