<西武1-4ソフトバンク>◇1日◇メットライフドーム

「勝利」ほど苦しむチームへの良薬はない。西武との首位決戦第3ラウンド。連敗を喫してぴったりと背中に張り付いてきた獅子を再び突き放した。球場名物の長い階段を上り終えても、選手たちに苦しさはない。試合後は足取り軽く移動のバスへ乗り込んでいった。

球場入りした午後2時すぎ。工藤監督はコーチ、全選手らをロッカー室に集めた。今季、ほとんどなかった試合前の「全体ミーティング」だ。この一戦への集中と勝負への闘争心を持てとばかりに背番号「81」はナインを鼓舞した。内川、松田宣、川島の野手ベテラン組は名指してチームのけん引役を頼んだ。首位陥落は何としても避けたかった。指揮官としては当然だろう。そしてチームは勝った。

京都の2戦を雨で流し都内に入った。西武3連戦を前に焼き肉店で監督、全コーチの「決起集会」を開いた。レオをたたけばVマジックも点灯する。必勝を誓ったはずが、よもやの連敗。初戦を落とし球場を後にする移動のバスは、観賞用のDVDも消して沈黙のまま宿舎に戻ったほどだった。

「信頼」と「責任」。この一戦に限らず、リーグ戦を通してこの2つの言葉は底流になければならない。シーズン好不調の波はある。いよいよV奪回へ向けた最後のラストスパートである。監督はチームを信じ、選手は最高のパフォーマンスで応える。連敗脱出のこの1勝が、チーム再起動となれば、いい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】