ポスティングシステム(入札制度)を利用して米大リーグ挑戦に挑戦するDeNA筒香嘉智外野手(27)が29日、横浜市内のホテルで記者会見。メジャー挑戦を正式に表明した。

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壇上に座る筒香の左胸にはベイスターズのピンバッジが光っていた。15歳のときに和歌山の親元を離れ、横浜高の門をたたいた。両親とともに自家用車で入寮した日に“事件”が起きた。両親が運転する自家用車のトランクには寝具、生活用品を一式を積み込んだ。寮に到着して荷物を下ろそうとしたとき、青ざめた。

「野球道具を積み忘れたんですよね。練習着もスパイクも…」

慌てて近くの大型スポーツ店に買いに行った。野球をしにきたのに、野球道具を忘れた。そんなおっちょこちょいな中学生だった。でも座席で、バットだけは肌身離さずに握りしめていた。バット1本で“横浜”に乗り込んでから13年がたった。

「ハマの主砲」として誰もが知る存在となった。「ベイスターズでいろんな経験をさせてもらっている。先輩、後輩ともみんなで一緒に考えて、いろんなことにチャレンジしている」と常々、話していた。もう1度、裸一貫で勝負する決断に至ったんだろう。

YOKOHAMAに育ててもらった感謝を胸に、バット1本で海を渡る。【為田聡史】

メジャーリーグへの挑戦を表明したDeNA筒香の左胸にはベイスターズのピンバッジ(撮影・横山健太)
メジャーリーグへの挑戦を表明したDeNA筒香の左胸にはベイスターズのピンバッジ(撮影・横山健太)