侍ジャパンの1次ラウンド全勝突破を見届けた日刊スポーツ取材班が、珍道中? を振り返る。

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日本がスーパーラウンド進出を決めた、すがすがしい夜だった。桃園国際球場を出発したのは、深夜0時過ぎ。宿泊先の新竹まで「Uber」(ウーバー)を利用して、約1時間の道のりを先輩4人と帰ることになった。

ウーバーはタクシーとは違い、登録している一般の方が運転手。台湾では平均月収20万ほどで、勤務時間は自由なこともあり普及率が高い。スマートフォンアプリで行き先を選ぶと、周辺の車が配車にやってくる。運賃は配車直後に表示され、クレジットカードで決算登録していれば、これほどスムーズな移動手段はなかった。

この夜の運転手は、球場到着まで「あと7分」から20分以上過ぎて到着した。不信感漂う中、先輩2人に挟まれる形で後部座席に乗り込んだ。走りだすと、車線はお構いなしの蛇行運転。道中の7割はフリーウエー(高速道路)を走るが、謎の急ブレーキ連発に業務後の疲労も相まって胃からこみ上げてくるものが…。

思わず日本語で「危ない!」「よそ見しないで!」と教習所の教官のように、声を飛ばしてしまった。ややあぜんとする先輩をよそに、身の危険を感じて我を失っていた。ウーバーは降車後、運転手を星5つで採点できる。運転手も焦ったのか途中で、観光名所を案内していたが到底耳に入ってこなかった。

翌日はタクシーで帰路に就くと、慌てた運転手さんに何かを手渡された。「学生だと思ったんでしょう」と同行していた台湾人記者。学業成就の御守りを握りしめ、台湾からの機内で、安全運航を願っていた。【田中彩友美】