一からNPB入りの夢を追う。根本和也捕手(26)は、ロッテ浦和球場で行われたBCリーグのトライアウトに参加した。本格的な野球歴は3年。小学2年から野球を始めたが、進学先の中学校に野球部がなかったため、バレーボール部に入部。高校からテニスを始め、立大ではソフトテニスの全国大会に出場した。大学卒業後、一般企業に就職したが、野球への思いがよみがえってきた。「野球は楽しかったなと。でも今しかできないと思った」。17年夏に脱サラし、野球をやる覚悟を決めた。

「やるからにはプロ野球選手になりたい」。硬式野球のクラブチームに入った。周りは高校や大学野球経験者。その中で一から野球を学んだ。18年4月には外野手から捕手へと転向。「時間は取り返せない。野球のすべてを知らないと。捕手なら多くのことを学べると思った。そうじゃないと追いつけない」。ピザ屋で配達アルバイトをしながら練習を続けた。国内のトライアウトを受験し続け、19年に関西独立リーグ堺シュライクス入り。遠投90メートル後半、50メートル走6秒2と身体能力は十分。経験の少なさは逆に伸びしろがあるとも言えるが「年齢が選考で不利になることもある」。現実の厳しさ理解している。その上での覚悟だ。

この日のトライアウトでは1次試験には合格したが、即日で開かれたドラフトでは指名されなかった。それでも前に向かって進み続ける。「こういう実績でも野球ができるということを伝えたい。また一からチームを探して野球を続けます」。昨秋のトライアウトでは高校と大学野球部未入部の杉浦健二郎投手(21)が150キロをたたき出し、BC神奈川入りした。実績がない選手でもプロを目指せる。時代の流れが少しずつ変わっていくのかもしれない。【湯本勝大】

BCリーグのトライアウトでマスクを被る根本和也捕手(撮影・湯本勝大)
BCリーグのトライアウトでマスクを被る根本和也捕手(撮影・湯本勝大)