<練習試合:西武3-2ロッテ>◇13日◇メットライフドーム

無観客試合で、ロッテのルーキー・福田光輝内野手(22)の声が目立つ。大きくはないし、底抜けに明るくも高くもない。強いて言えば、前向きな声色だ。1球1球の「ナイスボール」「惜しい、惜しい」は語尾までくっきり。適度な声量が、マウンドに1人立つ投手に確実に届く。

先輩レギュラー陣はそれぞれ、ここぞの場面で投手に歩み寄る。場面によっては静かになるから、いつも聞こえるルーキーの“普通の声”は安心感がある。大阪桐蔭、法大と強豪で主将を務めてきた。「大変な時もありました」と笑う。チームのために、いま何をどのように行うべきか。感受性が高く、言葉や行動が物事の本質を突いていることが多いように見える。

石垣島キャンプ中に児童養護施設を訪問した。「何を食べたら大きくなれますか?」と質問された。新人6人が回答を終え、福田光が大トリ。満面の笑みで「ぼくは果物が好きなので、イチゴを食べたらある程度は大きくなると思います」。大笑いならず、小笑い。それでも、場の空気はより優しくなった。

試合で求められていることも自覚している。物おじしないフルスイングで、キャンプから猛烈アピールを続け「まだまだ足りない」と奮闘した。西武戦でも痛烈な二塁打を放った打力に加え、内野ならどこでも守れる。井口監督は「試合途中からでも、先発でも、流れを変えたい時に使える選手」と認める。残り2試合。開幕1軍入りへ、いつも以上に光り輝けるか。ドラフト5位ルーキーには、ロッテに新しい風をもたらす力がある。【金子真仁】

西武対ロッテ 9回表ロッテ1死、右翼線へ二塁打を放つ福田光(撮影・横山健太)
西武対ロッテ 9回表ロッテ1死、右翼線へ二塁打を放つ福田光(撮影・横山健太)