逆転の発想で、昨季最下位のオリックスが下克上を狙う。今季のキャッチフレーズを「B INNOVATION #超革新系」と定め、西村監督も「変革の年。何かを変えなければ、始まらない」と常々、口にしている。

具体的に、どのあたりが「超革新」なのか。スターティングオーダーを見れば、すぐに分かる。1番T-岡田、2番ロドリゲス、3番吉田正、4番ジョーンズ、5番中川…。初回から抜け目のない打線を組む。先頭打者はヒットマンを、2番には小技ができる選手を…。そんなイメージを覆す打線となっている

1番を任されるT-岡田は「打線にならないと。後ろにロドリ、正尚、ジョーンズがいるので心強い。なんとか塁に出られたらと思っています」と役割意識を持って、打席に入っている。やみくもに組んだ打線ではない。ある打撃スタッフは「Tは1番が似合うかもしれない。初回の先頭から(打席に)来られたら、やっぱり嫌。Tもランナーがいない1番なら、何も考えずに打席に行ける」と春季キャンプから語っていた。

オープン戦や練習試合でも「超重量打線」は機能している。昨季はリーグ最少の544得点に終わったが、得点力不足は解消しつつある。さらに、新助っ人のメジャー282発男ジョーンズは、まだベールを脱いでいない。昨季は打率1割7分8厘だった正捕手の若月も打撃向上中。安定した守備が売りのショート安達、セカンド大城、センター後藤も存在感が際立つ。さらには左アキレス腱(けん)断裂の大ケガを乗り越えた伏見も1軍に帰ってきており、ベンチの雰囲気は明るくなった。

投手陣も「逆転の発想」で勝負に挑む。開幕戦は2年連続でエース山岡がマウンドに上がる。2戦目には左腕の田嶋、3戦目に昨季最優秀防御率の山本が起用される。4戦目となる火曜は、同一カード6連戦の頭となるためエース格の起用も考えられる。投手スタッフの1人は「火曜に(白星を)取ると取らないでは全然変わってくる。でも、考え方はいろいろあるんでね」と笑う。

それでも「先手必勝ローテ」を組んだのは意図がある。チームは10年に楽天に勝ったのを最後に、開幕白星から遠ざかっている。開幕カードも11年から9年連続で勝ち越せておらず、うまく波に乗れていない。今季こそ開幕ダッシュを上位進出の足がかりにしたいところ。救援陣も守護神ディクソンは固定だが、勝ちパターンは何通りかを用意。型にはまらない作戦で、台風の目となる。

シーズン開幕まで、1週間を切った。「毎年、開幕前の順位予想だけ盛り上がるのがオリックス」と耳にするが、今年は何かが違う。「逆転の発想」で96年以来のリーグ優勝へ-。目の色を輝かせて、開幕を待つ。思えば、現実になる。【オリックス担当 真柴健】