<中日3-10広島>◇28日◇ナゴヤドーム
広島のドラフト1位森下暢仁投手(22)が9回途中9安打3失点、7奪三振の力投で悲願のプロ初勝利を手にした。最速153キロの直球を軸に、8回までゼロ封。完投勝利こそ逃したが、7回無失点と好投した21日のDeNAとのデビュー戦に続く快投を見せた。
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森下の野球人生において、大きな影響を与えた1人の男がいる。明大の3学年先輩である中日柳だ。森下が1年の時、柳はエースで主将だった。東京6大学で春秋連覇に導いた背中を見続けた。「姿勢というか、主将としてチームをどう引っ張っていくのか、エースとして何をしなければいけないのかを見て学べました」。柳は16年ドラフト1位で中日へ入団。「ドラフト1位でプロに行くにはこういう選手にならないといけないんだな」。身近に見本がいたからこそより目標が明確となった。
くしくも同じエースで主将の立場となった。柳が4年時に始めたという“儀式”を継承した。「柳さんがやっていたことだったので…」。チームメートと試合会場に向かうバスの中で、到着目前に大音量で音楽をかけ、仲間と大熱唱。WANIMAの「Drive」や米津玄師の「馬と鹿」、秦基博の「鱗」などをかけ、チームの士気を高めたという。主将、エースとして全日本大学選手権で日本一まで上り詰めた。「いろんなことを教えてもらった。柳さんを見て成長できたかなと思います」。今は敵同士。いつか訪れるであろう2人の投げ合いが楽しみだ。【広島担当 古財稜明】