<ソフトバンク4-3楽天>◇7日◇ペイペイドーム

ソフトバンクの絶対エースが復活した。キャンプ途中から右上腕部の張りなどで出遅れていた千賀滉大投手(27)が楽天戦に今季初先発。5回4安打3失点で打線の援護もあり白星をマークした。初回に自己最速タイ161キロをマークするなど6奪三振。頼れる右腕復活で首位楽天への反撃態勢を整える。

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向上心の塊のような千賀だが、周囲への目配せも、成長の要因の1つになっているようだ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月から2カ月間、自主練習を余儀なくされた。日本が、世界がコロナで苦しんでいる姿を見て、野球ができる喜びも知るようになり、周囲へのサポートにも目を向けるようになった。5月上旬に、ともに育成選手として歩んできた甲斐と共同で「GIFT FOR FUKUOKA KIDs ホークス千賀&甲斐 共同コロナ支援:福岡の子供達へサポートを」と題してクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げた。あっという間に目標の200万円に到達。結局700万円が集まり、自身のインスタグラムを通じて感謝の気持ちを伝えた。

後輩たちの成長にも一役買ってでている。カブスのダルビッシュ有への訪問をともにしたチームメートの石川をはじめ、2年目右腕の杉山とも自主トレから行動をともにし、フォームなどの指導を行っている。杉山は「投球だけでなく、投手としての気持ちの面でも教えてもらうことは多い」と話す。自主トレをともにした阪神浜地にも6月のタマスタ筑後でのウエスタン・リーグでの試合の際に、アドバイスを送るなど、広い視野で球界発展を見据えている。

自身は出遅れてしまったが、野球ができる環境に感謝。野球界全体への恩返しとともに、後輩たちの指導にも目を向け、自身の成長につなげている。【ソフトバンク担当=浦田由紀夫】

ソフトバンク対楽天 3回表楽天2死、ロメロの打球をよけて転倒し、背中に付いた土を松田宣(左)に落としてもらう千賀(撮影・今浪浩三)
ソフトバンク対楽天 3回表楽天2死、ロメロの打球をよけて転倒し、背中に付いた土を松田宣(左)に落としてもらう千賀(撮影・今浪浩三)