<ロッテ3-2日本ハム>◇8日◇ZOZOマリン

劇画デビューだ。巨人から移籍したロッテ沢村拓一投手(32)が8日、入団初日の日本ハム戦(ZOZOマリン)でいきなり剛球を披露した。6回に3番手で登板し、ド迫力の3者三振。“ロッテ沢村”を強烈に印象づけた。朝9時に古巣に別れを告げて入団会見に臨み、強風のマリンで新天地初登板。長い1日の終わりは、5連勝の喜びを新しい仲間たちと分かち合った。さぁ、逆転優勝へ。頼もしすぎる男がやって来た。

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今でも、その言葉が鮮明に耳に残る。午後11時半過ぎにスマートフォンが鳴った。沢村だった。「消えた方がいいんじゃないかなって」。

4年前の16年9月14日の中日戦。2点リードの9回に登板し、1回2失点でセーブ失敗。4時間37分、延長11回の末にサヨナラ負けした試合後、消え入りそうな声で言った。

食事会場にも行けず、部屋に閉じこもった。「何か食べないと」と声を掛けた。「部屋から出るのは…すみませんが、お願いできますか?」と頼まれ「デミオムライス、めんたいこパスタ、焼き肉丼」をホテルのフロントに預けた。

翌日「3つは無理でした」と言った沢村は、初めて帽子に「信」と記した。「自分を信じる。仲間を信じる」。ありのままの魅力をロッテ初戦のマウンドでも表現した。【久保賢吾】