<ソフトバンク3-0ロッテ>◇11日◇ペイペイドーム

「機動力」というのは何にも代え難いパワーとなる。ソフトバンクが2位ロッテに連勝。第3ラウンドは「足攻」で勝負を決めた。

リードオフマン周東の快足が、文字通り勝利をけん引した。得点こそならなかったが、初回に内野安打で出塁。いきなり二盗を決め好機をつくった。

ソフトバンク対ロッテ 1回裏、一塁走者の周東は二盗成功(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対ロッテ 1回裏、一塁走者の周東は二盗成功(撮影・梅根麻紀)

「絶対に負けられない中で、こういう活躍ができてうれしい」。3回1死から中前打で出塁。2死後、中村晃の適時二塁打で、二塁から先制のホームを駆け抜けた。圧巻は続く4回。松田宣のソロ弾で1点を追加、さらに2死三塁で回ってきた打席だった。周東は、カウント1-2から134キロのフォークボールに遊撃へのボテボテのゴロだったが、快足を飛ばして適時内野安打とした。「追い込まれていたので、何が何でも前に飛ばそうと。形はどうであれ、よかった」。お立ち台に呼ばれたヒーローは、そう言って笑った。次打者の初球に再び二盗を決め、盗塁王争いトップの34個目を決めた。

ソフトバンク対ロッテ 4回裏ソフトバンク2死三塁、周東は遊撃へ適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対ロッテ 4回裏ソフトバンク2死三塁、周東は遊撃へ適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)

「スピードはパワーに変わるが、パワーはスピードに変わらない」-。常勝西武、そしてダイエーの下地をつくった故根本陸夫氏はいつもこう言った。センターラインの強化とともに、「野手編成」の根幹にしていたのは「スピード」だった。そして、工藤ホークスになってチームに「積極走塁」の意識を植え付けさせたのはロッテに移籍した鳥越ヘッドコーチでもあった。破壊力ある豪快な1発も魅力だが、1点を争う緊迫戦では相手投手を心理的に追い込む「足攻」は最も有効だ。

「自分の役割をしっかり果たしてチームの勝利に貢献したい」。周東は有終ゴールまでチームをけん引するつもりだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】