DeNAは外国人選手が1人も入国できず、投打ともに苦しいやりくりを余儀なくされている。だが、12球団有数のポジション争いではないかと思わせているのが捕手だ。

昨季の出場試合数を順番に並べると

<1>戸柱恭孝96

<2>嶺井博希41

<3>伊藤光30

<4>高城俊人23

<5>山本祐大2

実績は戸柱が圧倒的なのだが、オフにラミレス監督から三浦監督監督に交代した。監督の代わり目は、新たなレギュラー争いが起きやすい。

現在、1軍にいるのは戸柱、嶺井、伊藤光、山本の4人。それぞれに持ち味が異なる。戸柱は守備力。昨季の盗塁阻止率3割5分2厘はリーグ2位。フレーミングなど捕球にも優れる。嶺井は打力。キャンプではスタンドまで運ぶ長打力を存分にアピール。オープン戦の打率は3割3分3厘(13日現在。以下同じ)で、オリックスの剛腕、山本由伸からバックスクリーン左へ本塁打も放った。昨季の盗塁阻止率は5割(許盗塁7、刺盗塁7)と、実は肩も悪くない。

伊藤光は総合力だ。昨季は打率2割1分6厘、盗塁阻止率も1割1分1厘だったが、故障やラミレス監督にリード面を指摘された影響もあったはずだ。一昨年には2割5分4厘、8本塁打の実績もある。鈍足が多い捕手にしては足が速く、右打者の割に併殺打が少ない(昨季は2。通算2556打席で38)。守備も14年にゴールデングラブ賞を獲得するなど実績がある。

今年、一気に台頭してきたのが山本だ。強肩が最大の武器で、昨季はイースタン・リーグで盗塁阻止率が驚異の6割1分9厘。今季初の対外試合となった2月13日の練習試合・中日戦では、いきなり盗塁を2つ刺した。オープン戦でもチーム唯一の盗塁刺2で、阻止率は5割。2月の練習試合では10打数4安打3打点と打力もある。捕球とリード面が課題だが、能力は高い。

2月25日の練習試合・楽天戦は20安打を浴びる惨敗だった。だが、0-10で迎えた9回、嶺井が内間の155キロを左前打し、戸柱と山本は連続で適時二塁打を放った。大敗の場面でも集中力を切らさず、それぞれの意地を見たような気がした。今後も高いレベルで競争を続けてほしい。

ちなみに、嶺井の打力を生かすために一塁起用する可能性は、三浦監督が「ない」と12日に否定している。【DeNA担当=斎藤直樹】