今年の春季キャンプでの言葉が、とても印象に残っている。

「僕みたいな独立から上がってくる選手は本当に1年1年が勝負だと思う。この1軍に来ている意味というのはそこにありますし、悪く言えば通用しなかったらすぐに切られるような気持ちではいるので」

阪神ドラフト8位の石井大智投手(23=四国IL・高知)の覚悟に満ちた言葉。その宣言通り激しい競争を勝ち抜き、プロ1年目から見事に開幕1軍を勝ち取った。

キャンプ中の対外試合では3戦連続無失点。3月16日のヤクルトとのオープン戦(神宮)で6戦目にして初失点を喫したが、その後2試合も無失点に抑えた。矢野監督はキャンプからずっと高評価を崩さず、勝ちパターン入りを期待してきたほどだ。

175センチの小柄な体から投げ下ろす投げっぷりが魅力だが、周囲が口をそろえる「真面目」な性格も後押しする。キャンプ中にはブルペンの捕手の後ろ側で、じっと座る石井大の姿をよく目にした。先輩投手だけでなく、同期入団の188センチ右腕、ドラフト3位佐藤蓮のピッチングも食い入るように見続ける。自分とタイプの異なる投手からも懸命に吸収していた。

昨年のドラフト会議で名前を呼ばれたのは74番目。12球団全体の支配下選手で最後だった。3月26日の開幕戦から、サクセスストーリーは始まる。【阪神担当=磯綾乃】

金村暁投手コーチ(左)の前で変化球の練習を行う石井大智(撮影・清水貴仁)
金村暁投手コーチ(左)の前で変化球の練習を行う石井大智(撮影・清水貴仁)