<楽天8-8ソフトバンク>◇10日◇楽天生命パーク

大勝と思われた試合が、終わってみれば7点リードをひっくり返され、何とか引き分けに持ち込んだ。試合後、グータッチを交わしたソフトバンクナインだが、大きな白星を取り逃がしたのは確かだろう。

引き分けに終わりタッチを交わすソフトバンクナイン(撮影・横山健太)
引き分けに終わりタッチを交わすソフトバンクナイン(撮影・横山健太)

3度目の先発の高橋礼は、悔やみきれない登板になったはずだ。序盤に大量7点の援護をもらった。2本のソロを許したとはいえ、勝利投手の権利を得る5回にいきなり先頭の渡辺佳を歩かせた。1つの四球を起点に3安打を許し、3失点。交代を告げられ、またも白星を逃した。過去2試合の登板で計17与四死球。この日は1四球だったが、ゲームの流れ、自身の投球をガラリと変えてしまった。

5回裏途中でマウンドを降りるソフトバンク高橋礼(右から3人目)(撮影・横山健太)
5回裏途中でマウンドを降りるソフトバンク高橋礼(右から3人目)(撮影・横山健太)

工藤監督とともに、下半身主導の投球フォーム矯正で制球力の安定を図ってきた。技術的な問題は克服しつつあるのかもしれない。ただ、今後も先発ローテーションを守るには、しっかりと自らを制御する「精神力」も不可欠だろう。

米国では今、男子ゴルフの4大メジャーの1つ、「マスターズ」が開催されている。「球聖」と呼ばれたボビー・ジョーンズが始めた「ゴルフの祭典」。一生涯アマチュアを貫いた球聖だが、信念として持ち続けたのが「オールドマン・パー」の精神だった。相手と戦うのではなく、自己との戦い…。ゴルフ好きだったダイエー根本元監督も、この言葉を大事にしていた。「あれは、野球選手にも通じるんですよ。野球は対戦のスポーツだが、常に自らを制御しないといけない」と話していた。

1球に泣く、というが、安定した「心」を保つ重要性を、あらためて感じた試合だった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】