阪神が開幕ダッシュに成功した。投手で言えば、藤浪の復調、野手では佐藤輝、中野といったルーキーの加入が大きい。それだけではない。ベンチ前の「パフォーマンス」に快進撃の理由が隠されている。
今年の阪神ベンチはとにかく明るい。昨季までも矢野監督の「矢野ガッツ」など盛り上げてきたが、今年は特に選手の明るさが際立って見える。
印象的なシーンは、14日の広島戦(甲子園)の5回、マルテが左翼へ今季2号2ランを放った直後だった。マルテがベンチ前に戻ってくるとナイン全員が息を合わせて「ラパンパラポーズ」を披露。天に向かって弓を引くお決まりのポーズを、ベンチの誰もが笑顔で行っていた。
この日の4回には、佐藤輝が甲子園初アーチをかけた。大ファンと公言する「ももいろクローバーZ」の「Zポーズ」を、カメラに向かって決めるのが恒例の佐藤輝。そんなルーキーをナインだけでなく、矢野監督を始めコーチ陣も「Zポーズ」で出迎えていた。1年目の選手ものびのびプレーできる、そんな空気を象徴していた。
昨年の秋季練習初日、井上ヘッドコーチは訓示の中で「スカすな」と選手たちに伝えたという。「みんなで一緒になって、1つのチームになって頑張ろうぜ、っていう時にスカすなと。みんなでテンション上げるんだったら、みんなで上げていく」。そして迎えた今年の春季キャンプ。「ちょっとスカしすぎやろ、っていう場面があった時には、1本ガツンと怒る場面で、俺言わなきゃいけないなと思っていたんだけど、結局そのチャンスがない。ということは、みんな意識してやってくれてると感じてる」。全員で盛り上げる、そんな意識の浸透に確かな手応えを感じていた。
本塁打の後のシーンでもう1つ。1日の広島戦(マツダスタジアム)で、3回に3ランを放った糸原は、親指、人さし指と小指を立てる新たなポーズを見せた。「糸井さん伝授のポーズです」と、仕掛け人はベテランの糸井。チーム一丸となった明るい雰囲気も、首位快走を後押ししているかもしれない。【阪神担当 磯綾乃】