劇的復活を遂げた男が、後半戦のキーマンとなる。DeNA桑原将志外野手(28)は前半戦のセ・リーグ打率3位。昨年までの2年間は2軍の時期が長く、昨秋は内野手転向を打診された。崖っぷちに立たされ、気が付いた。「やっぱり外野でレギュラー取りたい。1つのポジションを取るという強い気持ちが芽生えた」。出場機会を増やしてあげようという三浦2軍監督(当時)の親心は理解していた。だが、練習を行った末、率直に心境を伝えた。
紆余(うよ)曲折をへた。キャンプは2軍スタート。オープン戦でチーム1位の打率2割9分6厘を記録し、開幕スタメンを勝ち取った。ポスト梶谷となったが、5月12日巨人戦では9回2死から一塁線への飛球に走らず、批判を浴びた。「打った瞬間にアウトだ、終わってしまったと決め付けた」。翌日、監督室に呼び出された。「去年はどういう気持ちでやっていたのか。2度とやるな」。三浦監督の言葉に猛省した。「試合が成立するまで、ベストを尽くさないと」。次戦から5試合連続安打で足場を固めた。
波乱は続いた。5月26日オリックス戦。2回2死満塁から平凡な飛球を落とした。守備は誰しも認める実力者。「監督、コーチに『何があったんだ』と聞かれたが、僕も分からなかった」。4回から神里と懲罰的にも見える交代。神里は2試合連続本塁打を放ち、桑原は3試合連続でスタメンを外れた。だが、心は乱れなかった。「周りが結果出そうが、僕には関係ない。自分が出た時にどう結果を出すかだけに重きを置いている。『やばいぞ』とは一切ならない」。6月2日にスタメン復帰すると月間打率3割7分2厘。地位を確立した。
昨年末、徳島まで初めて母栄美さんの墓参りに行った。「『今まで通り自分らしくプレーするよと』いう気持ちを込めた」。何があっても動じず、後半戦に向かう。【斎藤直樹】




