涼しくなってきても、ロッテが首位にいる。平常心でいたいところながら、担当記者としても少しずつ緊張感が高まる。

「悲願達成へのキーマンは?」。そう問われることが何度かあった。全員だと思うけれど、特にカギを握るのではと感じる選手が何人かいて、プロ2年目の佐藤都志也捕手(23)がその1人だ。

交流戦の前に、上司から同じように「交流戦のキーマンは?」と問われ、佐藤都を記事にした。当時、正捕手田村ら1軍捕手陣が相次いで故障などで離脱。データの少ないセ・リーグ相手に、どうリードしていくかが鍵になるとみた。

横浜スタジアムでとんでもない弾丸ライナーの本塁打を放つなど、打撃では一定の存在感を示した。一方でマスクでは苦戦する場面も何度かあった。盗塁を許し、ワンバウンドの投球も続けて後ろにそらす-。

「正直、気持ちを切り替えるのは難しかったです。やっぱり1球そらしたりすると『今日もか』というのが自分の中にあったり」

首脳陣、江村ら先輩のアドバイスを受けながら、なんとか試合を作る。5月19日から16試合連続でスタメンマスク。この期間をチームが7勝8敗1分けで乗り越えられたのは、今となってはかなり大きい。

田村が戻り、中日から加藤も加入。佐藤都はいま、重要な局面で打撃での貢献を求められている。打球速度はチームトップクラスながら、ここまでは好調をキープしきれなかった。

今季はマーティン、藤原といった強打者が務めてきた2番打者に、いま佐藤都が起用されている。マーティンは故障し、藤原は本来の調子が戻らない。1番荻野とレアードら中軸をつなぐ、ロッテ打線の重要ポイント。首脳陣の期待の大きさが表れる。

1軍再昇格後の9月22日以降は、打率5割に迫る。ソフトバンク千賀のフォークを強くセンターにはじき返し、西武ギャレットのスピードボールを右中間に低空ライナーで抜くなど、見事な打撃を見せている。本人は「なんとかチームのために、を重点的に頑張りたいです」と挑む。悔いが残った交流戦。2軍で鍛え直し、今度こそ救世主に。1カ月後には全てが決まっている。【ロッテ担当=金子真仁】