中日福敬登投手(29)が今秋の契約更改後、覚悟をもって行動に出た。

通常、会見では今季を振り返り来季への意欲を語ることが多いが、メインテーマはSNSでの誹謗(ひぼう)中傷についてだった。

「個人としてのファンの皆さんへのお願いがあります」。そう切り出し、自身のSNSについて「2年前くらいから打たれた試合後に殺害予告めいたものが来るようになった」と明かした。家族を中傷するメッセージも多く、他の選手も同じような被害を受けて心を痛めていると訴えた。今季序盤まで発信していたが、不正ログインされて現在は使えないという。ファンとの交流に励まされ「やっていてうれしかったこともある」とした上で、身の危険を感じる中傷に「僕たちを助けてくださいというのは、公にしたい」と話して締めくくった。

記者もニュースサイトのコメント欄で同様のコメントを見たが、個人サイトへの「攻撃」は限度を超えるものも増えているように感じる。SNSでの発信が多い平田も契約更改後、こう話していた。「文字は言葉と一緒と思う。対面しているときや、初めて会った人に言えるのかなと思う。対面したときに言えないことは文字にもしたらいけないと思う」。

SNSが定着した社会は便利で豊かになった半面、ネットでの悪口、侮辱が人命にかかわる悲しい事件も起きている。中傷を受けるアスリートの叫び声も後を絶たず、東京五輪・パラリンピックは選手たちの「メンタルヘルス(心の健康)」も注目された。国は対策強化を急いでおり、懲役刑を導入する法整備の動きもある。福の投じた一石が、健康なSNS交流につながることを願っている。【中日担当 伊東大介】