2月1日の球春到来を前に、新型コロナウイルスが猛威を振るっている。1月に入って確認されたNPB各球団の陽性者は25日時点で計56人。26日も複数球団から新たな感染者が発表された。

スポーツ選手にとって、何日間も練習できないことは大きなディスアドバンテージになる。年の瀬に楽天銀次内野手(33)が明かしてくれた経験談が思い出される。銀次は昨年7月に陽性判定を受けた。

「4日間、ご飯も食べられないし起きるのもめんどくさい。というか起きられないし、水も飲めない。自分の体が痩せていくのが分かったですね。太ももを触った時に『うわ、細っ』とか。退院してから嫁に迎えに来てもらったんですけど、マスク取ったら『え、誰?』って言われました。痩せすぎて」

深夜にスポーツドリンクを飲んだ…はず、だったが味覚も嗅覚も消えているため、感覚的にはただの水。焦る一方で「食べたい気持ちにも飲みたい気持ちにもならない。とにかく体調がめちゃくちゃ悪かったです。人生で一番悪かったです」。生活の基本がままならない。秋冬も、落ちた体力を取り戻すところからのリスタートになった。

オミクロン株は無症状も多く、定期検査がなければ感染に気付かなかったであろう選手もたくさんいる。銀次ほど体調が悪化する人はいないかもしれない。現場では「かかるなら早くかかった方がシーズンには有利」との声も聞かれるくらいだ。

しかし症状のあるなしにかかわらず、2軍スタートや別メニュー調整など、キャンプインの出遅れは避けられない。「オフ」はあと4日で終わる。沖縄に宮崎。現地で選手と接する私たち報道陣も含めて、昨年以上に油断せずに臨みたい。【遊軍 鎌田良美】