<オープン戦:ソフトバンク0-0ロッテ>◇6日◇ペイペイドーム

3・25開幕へ、残り3週間を切った。新生藤本ホークスの調整は順調に進んでいるのだろうか? 同じパ・リーグのロッテ3連戦は2勝1分け。2月26日のオリックス戦(宮崎アイビー)を含めて対パはこの4試合だけだったが、2勝1敗1分けと何とか勝ち越し。それでも内容的にはまだチーム覚醒には遠いようにも感じた。「勝負」の前に、チーム内の「競争」を主眼としている現状で、なかなか首脳陣をうならせる若鷹の台頭がない。

ソフトバンク対ロッテ 王球団会長の話を真剣なまなざしで聞くリチャード(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対ロッテ 王球団会長の話を真剣なまなざしで聞くリチャード(撮影・屋方直哉)

藤本監督は8日の巨人戦(宇部)を「最後の競争、くらい思ってくれたらいい」と言った。柳田、グラシアルら主力は居残り、若手を多く起用して生き残りの“最終試験”の場にする腹づもりだ。首脳陣に甲乙つけがたいうれしい悲鳴を上げさせる選手は出てくるのだろうか。

5日のロッテ戦(ペイペイドーム)でリチャードが佐々木朗の161キロの剛球を中前にはじき返し、意地を見せた。王球団会長も大いに期待を寄せる大砲候補だが、「満場一致」の合格通知を送るにはアピール不足である。この日、1番センターで起用された3年目の佐藤直も4回に先頭で中前打を放ったものの、続く今宮の初球ヒットエンドランのサインに飛び出し盗塁死となった。

ソフトバンク対ロッテ 4回裏ソフトバンク無死、佐藤直は中前安打を放つ(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対ロッテ 4回裏ソフトバンク無死、佐藤直は中前安打を放つ(撮影・屋方直哉)

5日は二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」だった。冬ごもりを終えた生き物たちが活動を始める芽吹きのとき。若鷹たちも限られた時間の中で早く眠りから覚めてもらいたいものだ。足踏みする若手を尻目に中日からFA移籍した又吉が“デビュー戦”で好投した。順調な調整に加え、今季から硬めの粘土質の赤土を入れたペイペイドームのマウンドの感触を確かめたかったようで、志願の登板。こちらはしっかりと足元を固め存在感を見せつけた。いずれにしても開幕へのカウントダウンは始まっている。藤本野球の方向性を示す時が来た。【ソフトバンク担当 佐竹英治】