試合開始を待つロッテファンが次々と、ZOZOマリン一塁側ブースに近づいてきては「これって、どうやって使うの?」と尋ねてくる。

「刺し身やギョーザに…」とご当地調味料「酢の素」の使用方法を丁寧に説明するのは、岩手・大船渡市の市役所職員だ。

6月7日、ロッテ対中日は冠協賛試合の「黄金の国いわて・大船渡ナイター」として行われた。大船渡は4月には完全試合も達成したロッテ佐々木朗希投手(20)の地元だ。場内の物販ブースは最長30人近い行列になり、場外のPRブースも盛況。1万部以上のサンプリングを来場者に配り、大船渡のPRをしていた。富山智門さんは「こういう機会を通じて、朗希投手を応援するロッテファンの皆さんにも大船渡のことを知っていただければ。興味を持ってくださる方も多く、ありがたいです」と手ごたえと感謝を口にした。

大船渡と岩手県のPRだけではなかった。宣伝のぼりには「丹波篠山」の文字も。大船渡市の好意で、兵庫・丹波篠山市の市役所職員たちもZOZOマリンを訪れ、街のPRをしていた。佐々木朗の1年後輩、中森俊介投手(20)が生まれ育った街だ。ふるさと大使も務める中森は今、肉体のコンディションを整備しながら、デビューの時へ着実に備えている。

PRをしながら、丹波篠山市役所の新藤元太さんは感じた。「遠いですし、普段は交流できる機会もないので。とてもいい機会だと思います」。直線距離で727キロ離れた海街との縁を喜んだ。「震災の被災地、佐々木投手の出身地。遠くからそんなイメージで感じていましたが、今回こうしてご縁を持たせていただくこともできました」。

球団の期待通りに成長していけば、佐々木朗と中森は将来、チームを代表する両腕になりうる。そんな2人の故郷が、野球を通じてつながる-。これまでなかったようなモデルが球界に生まれようとしている。

7月6日のロッテ-日本ハム(ZOZOマリン)は「丹波篠山市 黒豆ナイター」として開催される。今度は丹波篠山市が主役としてアピールし、大船渡市の関係者たちもPRチラシを配る予定だ。【ロッテ担当 金子真仁】