全国各地の高校球児に向けて、振り抜いた。オリックス吉田正尚外野手(29)が、14日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)の4回無死一塁から右翼席に9号先制2ランを放った。

「最後の夏」を迎える、高校3年生の野球少年に向かって、夢の放物線を描いた。かつて、福井・敦賀気比で主軸を張った吉田正に“聖地”を振り返ってもらったことがある。

「甲子園…。野球人として、みんな、1度は目指す場所ですよね。僕も、そうでした。グローブの刺しゅうに『全ては甲子園のために』と入れていたぐらい憧れの場所でした」

敦賀気比1年の夏に4番打者として甲子園出場。2年春のセンバツも甲子園の土を踏んだが、2年夏以降は足を踏み入れることはなかった。

吉田正にとって甲子園は、格別の思い入れがあるスタジアムだ。「高校野球もそうでしたけど、僕は大学時代も甲子園が人生を大きく変えた場所だと思ってます」。青学大4年の6月、ユニバーシアードの日本代表に選出された。大会後にU18との壮行試合が甲子園で行われ、2打席連発を披露。直後のドラフト会議に向け、存在感を大いに示した。

今でも毎年7月に入ると、青春の地を思い出す。「僕にとって甲子園は憧れた場所、そして特別な場所。あの(大学4年の)2本というのは僕の人生を大きく変えたと思ってます」。15日に29歳の誕生日を迎えた主砲が、より一層、気を引き締めた。

吉田正の地元・福井県は16日に、全国で最後に開会式を行う。「ベストを尽くすべき場所ですよね。仲間と、最高のパフォーマンスをね」。球児に負けない夏が、始まる。【オリックス担当=真柴健】